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軍艦武蔵は発見の連続

またまた書いていますが、この軍艦武蔵という上・下巻に分かれた文庫本は、開くたびに大いなる発見があるのです。

例えば、海軍報道班員だった毎日新聞記者が、書いた記事で東条英機の逆鱗に触れて、2等兵として陸軍に引っ張られたけれども、海軍がうまく取り計らってくれて、海軍報道班員に戻った話は、たしか加山雄三がどれかの戦争映画の中で演じていましたが、そんなエピソード(「竹槍事件」と呼ぶらしいですが)もさりげなく出ています(下巻)。

それに、最も衝撃的だったのは、「ジャパンゲリラ」と呼ばれている所属部隊から離脱した陸軍兵の話で、彼らは単独行動の日本兵を襲っては、食料を奪い、場合によっては殺してその肉を食べたそうで、その一人に出会った「武蔵」の乗員だった人の話も出ていました(下巻)。

今は上巻をメインに読みながら、下巻の読み返しを時々おこなっています。

これほどまでに読み返してみたいと思える作品に仕上がったのは、やはり40代前半から50代半ばまでのすべてを注ぎ込んだ、著者である手塚氏の根気強い取材と執筆があればこそで、そのたゆまぬ努力の結集が深い感動を呼び起こしているのであろうと私は思います。

ちなみに新潮文庫での上巻は673ページ、下巻は登場人物を中心とした詳しい年表を入れて691ページもあるので、片方だけでもかなりの分量です。

上巻は、海軍生活の楽しさもつらさも含めた、艦隊勤務とはどんな感じだったのかという話だけでなく、当時の世相を反映した記述が至るところに見受けられますが、下巻はこれとは打って変わって、武蔵が沈む時の話や、生き延びた兵達が戦後を含めてその後どの様に生きてきたのか、というかなり重いテーマの話が多いのです。

個人的には、亡き父から完全には聞き出せなかった、海軍での生活や戦闘や当時を生き延びると言うことがどんなだったのかというヒントを与えてくれる、数少ない貴重な資料でもあります。

軍艦武蔵は、太平洋戦争の悲惨さや当時の生活を知りたいと思うすべての方にお薦めできる、読んで絶対に損のない、最近ではとても珍しい本です。

図書館なら単行本もあるかも知れませんが、修正がきちんと入ったこの文庫本セットがベストです。
軍艦武藏〈上〉 (新潮文庫)
軍艦武藏〈下〉 (新潮文庫)



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